Voice_声6
五輪エンブレムは足枷と首輪か?
山本省三(実行委員 絵本作家)
疑わきは罰せず。これが法律の原点のはず。それが今、まだ罪を犯す前に、その可能性ありと判断すれば逮捕できる法律が作られようとしている。亡くなった母親の娘時代、友人たちと集まり、トランプをしていたら、憲兵がやってきて尋問を受けたそうだ。愚かな歴史をまた繰りかえすつもりなのだろうか。東京五輪開催を錦の御旗にして、人の頭の中まで管理する恐ろしいたくらみだ。あの二つ並んだエンブレムが、我々につけられる足枷と首輪に見えてくる。なんとしても断ち切らねば。
異議申し立ては無意味ではない
落合恵子(作家)
ああ、わたしたちは、わたしたちの父母や祖父母の
時代に戻っていこうとしているのか。
もの言わぬ市民であることは、沈黙することは
あの時代を認めることだ。
戦争や権力そのものに反対したものたちが、
言葉を奪われ、考えることさえ奪われ、場合によっては
いのちする奪われたあの時代。
ここで共謀罪を通してしまえば、「いつだって戦争できる。
いつだって反対の声は押しつぶせる」になってしまう。
マハトマ・ガンジーのあの言葉を思い出す。
旅先で書いているので、記憶をたどるしかないが。
……あなたがしていることは無意味かもしれない。
けれど、しなければならない。あなたが世界を変える
ためではなく、あなたが世界から変えられないために……。
抗議集会に参加するとき、いつだってこのフレーズが
わたしの中にはある。
そして今もまた。
敬愛するガンジーさんに申し訳ないけれど、わたしは
わたしたちの異議申し立てを「無意味」とは思わない。
この国の未来のために
那須田淳(作家)
この法案は、発言や思考や想像力を縛り、弱者の声を消すことになりかねません。
それがどんな恐ろしい社会を生み出したのか、過去の歴史がすでに証明しているではないでしょうか?
たとえ少数派であっても間違いは間違いと言える小さな勇気を否定し、子どもたちに自由の翼を与えない 国に、はたして健全な未来があるのでしょうか?
ドリアン助川(作家)
権力を持つ者たちが、さらに民を黙らせるため、
どうしても欲しい法律です。だから反対するのです。
一人一人が声をあげよう
あさのあつこ(作家)
この国はどこに向かっていくのか、不安を通り越し恐怖すら感じます。
権力者による権力者のための国造りの動きが、さらに加速していきます。
そこには、わたしたち一人一人の自由も、幸せも、平和もありません。
国は個人を犠牲にして構わないと、考えているのでしょう。
数年後には、政府の方針に異を唱える集会は、ことごとく犯罪集団とみなされ
取り締まりの対象となるでしょう。その種は既にまかれているのです。
怖いのは、政府、権力者ではなく、漫然と現実を受け流し、無関心のまま生きている
わたし自身です。一人一人が声を上げ続けること、行動し続けることしか手段はないと思います。
朽木 祥(作家)
『心の自由を縛る法律は、いらない』