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  • 記事:大竹永介

【2回連続リレートーク①開催!】子どもたちの現在と未来に向けて わたしたちができることは?~5人の熱いメッセージ~

 6月の前川喜平さんの講演会「子どもたちが危ない! 日本の教育はどこへ向かっているのか」を受けて企画された連続オンラインリレートークの第1回目が7月17日14時から開催されました。実行委員大竹による冒頭あいさつの後、やはり実行委員の一人である野上暁の司会進行によってスタート。トップバッターは「若おかみは小学生」シリーズなどで人気の作家令丈ヒロ子さんです。


 デビュー以来、子どもたちに「生きるのが嫌にならないでほしい」という思いを一貫して持っていたという令丈さんが強調されたのは「大人と子どもが同等であることの大切さ」。大人のいうことをきいていればいいという視点だけはとらないようにしていると話されました。(写真は上段左から松本、野上、降矢、下段左から令丈、那須田、十々夜の各氏)


 2番目の発言者は「ペーターという名のオオカミ」で坪田譲治文学賞を受賞されたやはり作家の那須田淳さん。ベルリン在住の那須田さんのお話の中心は日本とドイツの教育の差。ドイツでは発言すること=考えることが教育、であり、自分の意見を言えない子どもの評価が低いとのこと。こうした考えはナチス時代への反省から来ていて、民主主義の根底にあるものなのだ、という言葉が印象的でした。


 3番手はイラストレーターの十々夜さん。文章ではなく絵を描く立場から、気持ちを読みやすく持っていくための工夫、キャラクターづくりや脇役にも気をつけていることなどを話されました。大人の目線が入ってしまわないように気をつけているとのこと。


 十々夜さんからバトンを受け取ったのは絵本作家の降矢ななさん。スロバキアに住まわれている降矢さんは、当初日本のことにはほとんど関心がなかったそうです。それが変わったきっかけは2011年の3・11。日本はどうなってしまうのか、と強いショックを受けたといいます。


 ここ10年ほどの日本の政治のひどさを語る降矢さん。子どもに見せたくない大人ばかり、という降矢さんは、子どもたちに対して勇気ある、気骨ある大人を書きたい、子どもを押しつぶしていく今の日本の教育は変えなくてはならない、と強く訴えられました。

ラストバッターはちひろ美術館の常任顧問であり、評論家、作家でもある松本猛さん。しめくくりにふさわしく、道徳の教科化の問題が、最近の「表現の不自由展問題」「学術会議の任命拒否問題」等々、すべての「内面の自由の侵害」問題に通じると説き、人々が「発言しなくなる危機」を強く訴えました。


 一通り発言が終わったところで5分間の休憩。その後のフリートークでは子どもの本と政治的な問題についての関わり方などについても意見が交わされました。


 参加者の中からも「政治の問題はいやでもふれてしまうこと。気楽にやってもいいんではないか」(作家ひこ・田中さん)「子どもの頃の読書が今の自分を作っているということがよく分かった」(作家服部千春さん)「大人も自分の意見を表明することの大切さ感じ、勇気づけられた」(児童書専門書店奥山恵さん)という意見などが出され、若干の質疑応答があって16時に終了。充実したリレートークとなりました。

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