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記事:濱野京子, 写真:澤田精一

シンポジウムIN京都 私たちの時代・私たちの表現 ─いま、子どもたちに何を伝えるか─

 7月13日(土)、ひと・まち交流館京都(京都市)において、フォーラムとして初めて、東京以外の場所で行うイベントを開催、無事終了しました。

 当初、定員200人ということで、集まってくれるかと心配しましたが、関西地域を中心に多くの方からお申し込みをいただき、一ヶ月前には定員を越える事態となり、お断りせざるをえなくなりました。ご参加いただけなかったみなさま、誠に申し訳ありませんでした。

 当日は、雨模様のあいにくの天候でしたが、270人以上の方がご来場となり、補助椅子を並べての開催となりました。

 最初に総合司会の加藤純子さんが開会を告げ、続いて大竹永介さんより、フォーラム結成の経緯を説明がありました。

第一部は、直木賞作家の中島京子さんの基調講演。中島さんは、冒頭、ご自身が子どもの時に見えていた風景「世界は自分のためにある」と思っていたとユーモラスに語り、私たちが、次の世代にこの世界を渡すために生きているというのは、一つの真実なのではないかと述べられました。また、戦前を時代背景とした作品の創作過程で見えてきたものがあったこと、そして、子どもたちの未来に何を残すか、提案できるものは「選択肢」だとおっしゃいました。

休憩後の第二部、シンポジウムでは、マイクをコーディネーターのひこ・田中さんに託して、基調講演の中島さんのほか、あさのあつこさん、長谷川義史さん、令丈ヒロ子さんの五人が登壇しました。

最初に、令丈さんがマイクを取り、エンタメ作品を中心に書いていたご自身が、『パンプキン-模擬爆弾の夏』を書く事になった経緯をお話しになりました。当事者でもないのに、という逡巡もありましたが、そうでない人が取り上げてくれることがありがたいという言葉に触れ、事実を平易な言葉で書くことをめざしたとのこと。子どもたちが一度知った知識は、取り上げられることはない、と話されました。

長谷川さんは、中島さんの「選択肢」という言葉を受けて、選択の幅が重要であること、そして、ご自身の『たこやきのたこさぶろう』や『へいわってすてきだね』などに触れながら、好きな絵を描いてこられたのは、平和だったからだと語られました。

あさのさんは、冒頭、「大変な時代になってしまった」と、今の社会への危機感を表明、子どもや若い人に向けて書くということは、どう責任をとっていくかを、書き手として常に問われていることと語り、国に対し自分の言葉で自分の思いを語る恐怖をわかった上で発言していく覚悟について言及されました。

ひこさんは、これまでさほど憲法のことなど考えなくても地面として憲法があり、それが実現されていないと感じた時には実現に向けての活動をしてきたが、現在、その地面が丸ごと変わってしまう可能性が懸念されていること、それでも、自分は今のその地面に乗って書いていくとお話になりました。

最後に、野上暁さんの閉会の言葉で、散会となりました。

会場確保や事前準備にご尽力いただいた現地スタッフのみなさまには、大変お世話になりました。心よりお礼を申し上げます。

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