top of page
  • 記事:大竹永介, 写真:澤田精一

学習会「沖縄ジャーナリズムから考える基地問題と日米地位協定 ~辺野古埋め立てはなぜ強行され続けるのか~」


3月25日、専修大学で学習会「沖縄ジャーナリズムから考える基地問題と日米地位協定 ~辺野古埋め立てはなぜ強行され続けるのか~」が開催されました。講師は山田健太専修大学教授。この日、辺野古では新たな場所への土砂の投入が強行されるなど、圧倒的な民意を示した県民投票の結果にも関わらず事態は悪化するばかり。まさに「緊急事態」ともいえる状況のもと、短い準備期間ながら定員いっぱいの50名あまりの参加がありました。

 山田氏はジャーナリズムがご専門なだけに、まず県民投票の結果を本土のメディアがどう伝えたか、というところから話を始められました。特に地方紙の報道に注目。京都新聞などの例外はあるものの、共同配信の問題もあって、概して「反対派 決め手乏しく」というようなネガティブな見出しが多かったと分析。問題の根底には「情報の隠蔽」「非公開」と並んで、日本全体の「無関心」「無理解」があると指摘されました。

 山田氏はまた、辺野古問題の根は深く、さかのぼれば琉球処分(1872)から沖縄地上戦(1945)サンフランシスコ講和条約(1952)沖縄返還(1972)とつらなる「沖縄処分」にあると説きます。ここでも例えばサンフランシスコ講和条約発効時や沖縄返還時の本土の新聞の見出しと「沖縄戦後新聞」(米軍施政下にあり表現の自由がなかった当時を、もし今つたえるとしたらどういう紙面になるかと琉球新報が作成したもの)の見出しを比較し、その温度差を非常にわかりやすく説明されたのが印象的でした。(返還時にも沖縄にあったのは祝賀ではなく怒りです)

 事実、1956年には9割が本土にあった米軍基地は、本土7:沖縄3 の時代を経て、今や沖縄7:本土3 と逆転。沖縄はどんどん切り離され、「見えなく」されています。

 こうした状況の「根拠」とされるのが日米地位協定ですが、山田氏によれば問題点は「治外法権」と「免法特権」の2つ。沖縄は今「法があってなきが状態」である、と、普通に歩いているだけでいたるところに薬きょうが見つけられる(時には不発弾さえ!)ヤンバルの現状(=原状回復義務の免除)や米軍の賠償金やNHKの受信料の未払い、更には出入国の自由(入国管理法の免除)クリアゾーンなしの基地運用(航空法の免除)等々、ほとんど信じられないような「やりたい放題」の「無法」ぶりが具体的な例を挙げて説明されました。

 しかも、それらは明文上の規定がないにもかかわらず、恣意的な運用によってすべて「合法化」されてしまっているのが大きな問題、と山田氏。日米地位協定を実質的に動かしている「日米合同委員会」の中身の不透明さ、立法機関を超える権限の強大さが問題の改善・解決を阻む壁となっているとのこと。

 今問われているのは「人権」と「表現の自由」だと山田氏はいいます。そして、それらを取り戻すためにも不透明さを正して問題点を可視化し、国民やメディアの無関心を変えていかなくてはならないとも。それは、いうまでもなく、私たち自身に突き付けられた重く大切な課題だといえるでしょう。

 質疑応答も含めて予定時間を大幅にオーバーして学習会は終了。会場からは三重県から参加された方の「近くの基地にオスプレイが飛来しすさまじい騒音だった」というような生々しい発言もあって熱気に満ちた会となりました。

最近の投稿
Search By Tags
bottom of page