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  • 記事:加藤純子, 写真:澤田精一

連続講座 いま、この国のメディアを考える【第2回 TVキャスターが見た日本の政治】


金平茂紀さん

連続講座2日目は、ジャーナリストでTBSテレビ「報道特集」のキャスターである金平茂紀さんにお話いただいた。金平さんは「TVキャスターが見た日本の政治」をテーマに、まずは沖縄問題について語られた。

「暗黒といっていい時代を僕たちは生きている」

金平さんは常に現場を見て歩く。取材することで42年間報道をやっていると。特に不愉快なのが沖縄を取り上げる、本土のメディアのスタンス。もっと切り込まなくてはいけないのに、沖縄のことを無視している。翁長さんの県民葬で、首相の追悼文を菅幹事長が代読していた時「嘘つき」など怒号が巻き起こった。けれどNHKのニュースなどではその怒号をカットして放送した。その過程がある意味、ジャーナリズムの今の象徴である。

そして玉城デニー県知事誕生の裏側などについても語った。

他にも、DNMDTNKAと。「ダメになったメディアをどう立て直すか」その頭文字で作った言葉について。またトランプへ質問したアメリカのCNNキャスター追放の問題。韓国のアイドルグループのTシャツ問題。安田さん帰国バッシング問題。韓国の徴用工の判決問題と日本。さらに、ゴーン逮捕の問題など、多岐にわたり、今私たちが知りたい様々な事柄について語ってくれた。

中でも特筆すべきは、沖縄県知事、玉城デニー誕生の裏側についてである。

すい臓がんに侵された翁長さんは、最後の力を振り絞り、自身の命をかけ「慰霊の日に平和宣言」を読んだ。抗がん剤ですっかりツルツルになってしまった上にかぶっていた帽子も取り・・・。そして最後の命をかけて読んだ、そんな翁長さんの生き方は、沖縄の人たちの胸に鮮明に刻まれた。いくら中央政府が度々介入してこようと、創価学会・公明党の党首がやってきて演説しようとも、沖縄の人たちの心は揺さぶられなかった。ましてや、沖縄の人たちにとっては「普天間返還」が原点ではない。1995年、メディアにも流されたが少女暴行事件。わずか10歳の少女が米兵に輪姦されるという事件の時、8万5000人もの人たちが反米、反基地への狼煙をあげた。基地があるために我々の人権は蹂躙されているのだと。

けれど在京メディアはまるで他人事。積極的無関心を決め込んだ。その中でNHK沖縄では、ちゃんとニュースを発信し続けている。翁長さんの命をかけた死、沖縄への人権蹂躙、そうした思いが沖縄の人たちの思いに火をつけた。創価学会は学会をあげて佐喜真候補の応援に必死だった。けれど自らの沖縄県民としてのアイデンティティをかけ、沖縄の創価学会員の3人に1人が玉城デニーに投票したのだ。

その当時の沖縄は、まるでシールズが生まれた頃に似ていた。

他にも、メディアの裏側について、様々な問題を語ってくれた。そして最後「末期の光景」として、若者たちの保守化のことなどを語った。ダメになったメディアをどう立て直していくか。

それは、メディアの課題でもあり、私たちの課題でもある。

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