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  • 大竹永介

「テロ等組織犯罪準備罪(共謀罪)と出版・表現の自由」第5回学習会

《2017年3月6日、日本出版会館にて開催》

講師:山田健太氏

3月6日の月曜日18時から、神楽坂の日本出版会館で「フォーラム・子どもたちの未来のために」の第5回学習会が開催されました。講師は専修大学の山田健太教授。「テロ等組織犯罪準備罪(共謀罪)と出版・表現の自由」というテーマで、80人を超える参加者が熱心に耳を傾けました。

山田氏はまず、3つの観点から「共謀罪」の問題を指摘します。

第1に何のための法律かが不明である点。そもそもマフィア対策であったはずのものが、3回の上程・廃案の経緯の中でテロ防止とか、オリンピック開催のため、とか巧妙にすり替えらえてきた。

第2に何を罰するのかが曖昧である点。ラインの既読でさえ「合意」に見なされてしまうという国会答弁も紹介されました。

第3には従来の刑法原則が180度転換される点。すなわち、(処罰の)既遂原則から共謀原則への転換で、これは「意思」を処罰するもの、との指摘です。

また、あわせて法案起案の経緯がいまだ不明で、議論に応じようとせず、個別取材に対してもノーコメントという信じられないような現政権の隠蔽体質も指摘されました。

山田氏はこうした「共謀罪」の成立は思想表現の自由に対する重大な侵害であり、取材・報道にも直接的な影響を与えると、警鐘を鳴らします。

基準が曖昧なため、とりあえず捕まえることが容易になり、後で有罪にならなくても拘束するだけで見せしめや財政圧迫の効果があるという指摘には大げさでなく恐怖を感じます。

こうした表現の自由の後退は2000年ごろからの傾向で、まず法律ができ、次にそれを使って行政の圧力が起き、最後に市民社会が萎縮していくという3つの段階を踏んでいくと、山田氏は言います。2010年頃から既に第3の段階に入っていて、放置しておくとまた新たに法律ができ、自由はより圧迫されていく。その悪循環を断ち切る必要があるとの山田氏の言葉は説得力のあるものでした。

共謀罪の成立を目指すのは政府が異論を排除しやすくするため。一律に直接的、包括的に国民をコントロールしようとするのは、表現行為とはまったく相容れない正反対のもの、という氏の主張には共感するところ大です。

質疑応答を入れて2時間を超える会。最後は実行委員の一人である大竹が共謀罪への反対声明を読み上げ、当日柳田邦男氏から寄せられたメッセージを紹介して閉会。今後一層この反対の気運を盛り上げていかなければ、と思った一夜でした。

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